療養空間の現況
いま医療施設では、患者さんの快適な療養空間の実現に向けて、病室における空間のあり方のニーズが多様化しています。
上の左の図は従来の4床室ですが、これに対して
● 患者さんの転倒・転落防止・衝突防止、安全性の向上
● 療養空間の快適性の確保
● 医療スタッフの看護・処置のしやすさ
● 差額ベッド料を頂ける室基準の確保
などを実現するために、右の図のような病室空間改修が進んでいます。
差額ベッド料対応可能な基準
差額ベッドを徴収できるベッドまわりの基準としては、下記厚生労働省より通達が出ています。
(平成18年3月13日 保医発第0313003号(最終改定:平成20年3月28日 保医発第0328001号)より抜粋)
Ⅰ「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項
第1~第2 (略)
第3 保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める基準等(掲示事項等告示第3及び医薬品等告示関係)
1 特別の療養環境の提供に係る基準に関する事項
(2) 療養環境については、患者が特別の負担をする上でふさわしい療養環境である必要があり、次の①から④までの要件を充足するものでなければならないこと。
イ 個人用の照明
ウ 小机等及び椅子
(3) (略)
患者さんの快適性や安全性を高め、
かつ看護師さんの機能性を高めるための検証
株式会社岡村製作所では製品開発を行う上で、市場調査を行い、ユーザーニーズの把握や使われ方が適切かどうかを検証しています。
下記に病室で行った調査結果の一例をご紹介します。
急性期病床、上体を起こすことが出来ない患者を対象とした使われ方の現状調査を行いました。
上記現状調査結果より、下記ポイントを見出して製品開発をしました。
スペースが限られる病室で使用する収納ユニットの、最適な扉の開き方を調査検討して開発しました。
収納ユニットは回転式の扉とすることで、狭くなりがちなベッドまわりでも扉を開けることができます。
緊急時に医療機器がベッドまわりに配置されても使用でき、開き扉よりも使いやすさに優れています。まさに病室ならではのデザインです。
募集内容
この課題では、多床室のベッド間仕切りで「患者さんのプライバシーの尊重および安全性」と「看護のしやすさ」を両立できるデザイン・しくみについて、下記の3つの視点から療養環境内のベッド周りの家具を考えてください。
患者のプライバシーを尊重する間仕切り家具のデザイン
複数人が同時に入院生活を送る多床室では、従来より、ベッド間を天井からの吊りカーテンで仕切ることが一般的になっており、患者さんのプライバシーの尊重がされにくい状況にあります。今回の課題では そのカーテンに変わるような「間仕切りの置き家具」としての切り口で、最適なベッド間の新たな家具デザインをお考えください。
看護業務に支障をきたさないベッド周りの新たな家具とは?
患者のプライバシーを守りながらも、転倒や転落、衝突防止といった安全性の確保や見守りも重要な課題ですし、同時に看護・介護のしやすさも十分に考慮する必要があります。
看護師の日夜の看護業務や処置・治療時にじゃまにならず、安全性を確保でき緊急時の対応が取りやすいような、ベッド回りで使われる新たな家具デザインを考えてください。
多床室のベッドまわりで「患者さんの快適性向上」をテーマとするこれまでにない家具とは?
現在、患者さんが希望される場合快適だと認められたベッドに対して、入院費用に追加して差額ベッド料を患者さんから頂くことができます。患者さんに「これなら差額ベッド料を払っても良い」と思って頂けるような快適性を満たし、こんな機能があれば便利で快適という新たな家具を考えてください。